松村恭造(26)とは、自分の伯母と大叔父を殺害し、先頃
死刑判決を受けた死刑囚だ。
週刊現代の記者が獄中の松村死刑囚と全部で4回合計60分に及ぶ面会と、松村の実母から取材してまとめた記事である。死刑囚松村恭造の心の闇に迫る・・・・
事件の概要を説明すると、2007年1月16日京都府長岡京市に住む伯母の岩井ヨリ子さんを、後頭部を鈍器で強打、顔や首をナイフでメッタ刺しにして殺害。現金2万円やクレジットカードの財布を奪って逃走。その後上京ししばらく千葉県内に潜伏した後、22日には神奈川県相模原市の大叔父にあたる加藤順一さんを鉄製のバールで頭や顔面を殴って死に至らしめた。22日5時ごろ、かつて通学していた練馬区江古田の日本大学芸術学部正門側の路上で逮捕された。
2007年の9月に京都地裁で行われた初公判で彼自身が読み上げた意見陳述書が凄い。
「人殺しという人生初体験の大事を、しかも2件も、極めて冷静に完遂しえたことについて自分で自分自身を誉めてあげたいと思います。被害者2人の冥福を祈るつもりはまったくありません。」
記事によれば、松村の26年の人生。初期の段階から挫折続きであったようだ。
幼い頃から内向的で周囲に溶け込めない。中学では演劇活動に熱中するが、高校に入ってすぐ、好きな女の子に手紙を書いたことで教師とトラブルとなり、高校を中退。
「東京で活躍する芸術家」に憧れて、大検をパスして日大演劇科に進むが「精神的に疲れてしまい」1年もたたずに休学。実家に戻って酒とタバコに溺れ、アルバイトをしても悉く長続きしない。和合できない世間への恨みは無限大まで膨張し、子供の頃から反感を抱いていた伯母の岩井ヨリ子さんに恨みの矛先が向けられて、殺人に至る。
実にシンプルに分かりやすい心理的プロセスだ。心の闇というよりも、簡単なことで簡単に参ってしまう神経の脆弱さと心の弱さが目立つ。そして、弱さを補償するかのように意味もなく肥大化したプライド!(写真で見る松村の肉体は頑健で顔は鬼のように恐ろしい)
挫折した浮かび上がれない人間が、自分を認めない世間に反感を持つのは自然な話だが、だからと言って、人を殺していいと言う話ではない。短絡的で幼稚な犯罪だ。
(このぼくだって、人生挫折続きなわけだからね・・・)
同じ週刊現代の数ページ先に松村のような人間と対照的な人物の記事もある。
「全身麻痺のピアノ教師」一指し指一本で奏でる幸せ
坂中明子さん(33)と言う女性。
現在宮崎県を中心に
「人差し指から奏でる♪しあわせ」いう本が話題を呼んでいる。
作者の坂中さんは、20歳の時に医療事故にあい後遺症から全身麻痺になるが、どん底に突き落とされながらも明るさを失わず、指一本でピアノ教師をつづけているそうだ。
彼女の元には大勢の読者から「大きな力をもらった」という感謝の手紙が毎日のようにとどいているそうだ。
挫折し世間を恨み殺人を犯す人間と
挫折しても希望を失わず、けなげにひたむきに生きる人間と
どちらを世間が認めるかは多くの説明は要らないだろう。
記事の中のこのフレーズは印象に残る。
明子さんの母親の浩子さんの言葉。
「嬉しいのは、明子が日常のちょっとしたことに喜びを見つけてくれるようになったこと
たとえば、私がベットに彼女を寝かせてあげるとあの子は決まって(お母さんとても気持ちがいい。幸せをありがとう)って言ってくれるんですよ」
「日常のちょっとしたことに喜びを見つける」このささやかな能力さえあれば、挫折などは乗り越えていける。殺人者松村に最も欠けていたのはおそらくこのささやかなポジティブシンキングだったような気がする。
霞っ子クラブが松村恭造裁判傍聴しておられるようです。
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